お尻の穴の上にもう一つ穴がある赤ちゃんは全体の2〜4%いるそうです。
うちの息子のお尻にも底の見えない小さな穴があり、生後6ヶ月の時に精密検査を受けました。
始まりは4ヶ月検診でお尻の穴の上にある皮膚裂孔を指摘されたこと。
不安で不安で大号泣しました。
先天性皮膚洞なの?ただの穴なの?
始まりは医師からの一言
「あれ?」
「お尻の上にもう1つ穴があるね。」
「紹介状を書くからこども専門の大きな病院で詳しく調べてもらってください。」
よく見たら息子のお尻の穴の上(お尻の割れ目の始まりのところ)に小さな穴があります。
紹介状を書いてもらってる間に不安の波が打ち寄せてきて…ぽろぽろ涙が溢れて止まらなくなりました。
4ヶ月検診を前に首の据わった可愛い我が息子。
母乳も完母に移行、ぷくぷく太った我が子は健康そのものに見える。
その後に保健師さんに声をかけられた気がしますが、あまり記憶がありません。
それって私のせいかも
検査まではネット検索しては不安になる日々。
- お尻の穴があるということは二分脊椎?
- 二分脊椎だったら葉酸をしっかり取ってなかった私のせい?
- 葉酸を摂ってたけど、数日忘れてることもあったし…
- もしこの子に障害があったら私のせいだ…!
ネット検索して知ったのは先天性皮膚洞という言葉。
どうやら
- 2つ目の穴が神経まで繋がっていると先天性皮膚洞
- 繋がっていなければただの皮膚の割れ目
ということらしいのです。
ただのお尻の穴の可能性
Coccygial pit(benign sacral pit)、お尻の割れ目に穴がある状態をいいます。
- 新生児の2〜4%に見られる
- おしりの割れ目の中のくぼみ
- 皮膚変化がない
- 脊髄に達していない
新生児の2〜4%にあるので、お尻の割れ目に近いものは気にしなくても良いものがほとんど。
先天性皮膚洞とは?
第2のお尻の穴が神経まで繋がっていると先天性皮膚洞になります。
神経管の形成不全で髄膜炎などの感染を起こすので、予防的な手術が必要になります。
- 発生頻度は2500〜3000人に1人
- 背側の真ん中近くに皮膚のくぼみがある、腰仙部に多い
- 皮膚洞が脊髄まで達する例は60%
- 約50%の例では類皮腫や類上皮腫を合併(特に類皮腫)
- 髄膜炎の原因となる
- 感染前の予防的手術が重要
先天性皮膚洞は潜在性二分脊椎(皮膚に傷のない二分脊椎)の一種です。
今は症状がなくても、できるだけ早く手術して取り除くことで、障害が残る可能性が低くなる様子。
髄膜炎に感染したことによって
- 足の麻痺…歩きにくい、走りにくい、立てないなど
- 膀胱直腸障害…おしっこやウンチのコントロールができないなど
といった後遺症が残ることがあります。
先天性皮膚洞は皮膚上に特徴が出やすい
多毛、瘢痕、Skintag、血管腫、脂肪腫を伴うことが多い
つまり、多くは皮膚上の見た目や触った感じでわかる特徴があるということ。
- お尻の穴から2.5cm上、直径5mm以内は病的意義がないとされている
病的意義はないかもしれませんが、検査して適切な処置をすることで、障害が起こる可能性を取り除くことができます。
鑑別には画像診断が必要
ただのお尻の裂け目なのか、それとも神経まで繋がっているのか正確に検査するには画像診断が必要です。
- エコー検査…背中にプラグを当てるだけで検査可能、体が小さいうちしか脊髄の中まで映らない
- MRI検査…密室で30分くらいじっとしている必要がある、小児の場合麻酔を使うので危険性を除外できない
ざっくり言うとこんな感じです。
2016年当時、子供専門病院でエコーで検査できるのが5ヶ月ごろまでと言われました。
エコー検査は検査する人の技術が必要ですし、不確実性も含むのも確か。
病院によってはMRI検査しか行っていないかもしれません。
息子の検査、診断まで
専門的な見解はなく、1人の親としての視点で、記憶を基に書いています。
誰かの不安を少しでも和らげることができたら幸いです。
大病院で精密検査
4ヶ月検診後、すぐに電話で検査の予約しました。
電話で症状などを詳しく聞かれます(おそらく緊急性があるかを判断している)。
すぐには予約が取れなかったので、1ヶ月後の生後6ヶ月で検査を受けることに。
不安な日々は続きます。
このあいだに普段かかってる内科の医師にも相談したりしてみました。
検査当日
夫が仕事を休んでくれたので、3人で電車で向かいました。
とにかく道中が暑かったのを覚えています。
病院にはいろんな子どもと親御さんが来ていて、私が知らないだけで色んな病気があって闘っているんだなぁと。
お母さんも子どもさんも乗り越えるべくここにいるんだと。
検査1つでボロボロ泣いていた自分が恥ずかしくなりました。
医師による診察、問診
- この検査で病院に来る人は多い、そのほとんどが異常がない
- ギリギリの時期だけどエコー検査が可能かもしれない
- エコーをトライして駄目だったらMRI
温厚そうな医師の説明があった後、エコー検査の場所へ向かいました。
待ち時間が結構あるので、途中でオムツを替えたりぐずる息子をあやしたり…。
私の話し相手になってくれるので夫の存在はかなり重要でした。
エコー検査
エコー室には2人のイケメン臨床検査技師がいました(これは鮮明に覚えてる)。
検査室には両親とも入ってOK。
検査台の上に息子を横向きに寝かせて、お尻の穴の部分にエコー端子をあてて異常がないか確認していきます。
タブレットでふかふかの歌を流して、もう1人のお兄さんが息子をあやしてくれます。
人的余裕があり素晴らしい病院でした。
見えるかなーと言いながら「MRI検査になったら大変なので!」と色んな角度からあてて頑張ってくれました。
2度目の診察
医師の診断では「問題なし」。
イケメン検査技師のおかげでMRIをとる必要もなくなり、安堵しました。
しかし不安が強すぎた私は
- この先異常が出るとしたら何があるか?
- 今後気をつけるべきことはあるか?
など聞いてみましたが、特にないとのこと。
「皮膚の穴に汚れがたまりやすいのでしっかり洗ってください」と言われました。
MRI検査だともっと大変だったのですが、運良くエコー検査で異常なしと診断されました。
気になったら複数の医師へ相談しましょう
医師によっては大したことない、大丈夫という人と、紹介状書いてあげるよ、という人がいると思います。
最近は大きな病院への受診は紹介状がないと別料金を取られます。紹介状を書いてもらい、予約を取ってから検査しに行きましょう。
先天性皮膚洞が見過ごされた場合は髄膜炎などの重篤な症状があらわれてから気づくことも多いようです。
特にお尻の割れ目から離れているアナは注意してください。
腰や仙骨部分に多い病気ですが、背中や後頭部に皮膚洞があることも。
現在(3歳)の穴の状態
久しぶりにお尻の穴を見てみると、底が見えるくらい小さくなっていました。
毛も生えていないし、完全にお尻の割れ目の一部という感じ。
あの時見つけていただいた先生、検査してくれた技師さん、丁寧に説明してくださった先生にはとても感謝しています。
気になったらしっかり検査
親が見て異常に感じるのなら医学的な検査をしてもらうのをオススメします。
特に
- なかなかオムツが外れない(排尿感覚が鈍い?)
- 走り方がおかしくなってきた
- 他の子より運動発達が遅れている
- 原因不明の高熱が続く
という場合は、お尻の穴のことも含めて医師に相談してみましょう。
MRI検査の睡眠薬使用にリスクが伴うことはあるものの、感染してからの治療では障害が残る可能性があります。
子供の将来を考えて、より良い判断ができますように。
そしてこの記事がその一助になることを願っています。