リハビリ職(理学療法士や作業療法士)の転職先として、訪問看護ステーションは給与が高いことが魅力です。
実際にリハビリ職の訪問への転職者は年々増えています。
しかし、個人経営が多い訪問看護ステーションへの転職はリスクが高いもの。
せっかく転職して給料が良くなっても、すぐに辞めたり会社が倒産するのでは意味がないですよね。
転職先でここは避けるべき!という大きいポイントがあります。
訪問看護ステーションを2つ経た経験から
- 避けるべき訪問看護ステーションの就労条件
- 転職でホワイト事業所を見分けるポイント
訪問リハへの転職を希望しているセラピストの方へ、私が思う訪問看護ステーションの選び方をお伝えします。
\PT/OT/STの転職紹介/
なぜ転職で避けるべき訪問看護ステーションが存在するか
訪問リハを経営する母体は中小企業が多く、社長や一部社員のやりたい放題。
単位制限がなくブラック化しやすいという特徴があります。
平成28年度のデータでは、セラピストを5人以上抱える訪問看護ステーションは10%以下です。
事業所は乱立。
倒産や休止に追い込まれる事業所も多く存在します。
キツい(ブラック)訪問看護ステーションはこうだ!
わたしがブラック事業所に勤めていた時のスケジュールです。
8:30 | 事務所を出発 |
8:45-9:45 | 訪問① 介護60分 |
9:55-10:55 | 訪問② 介護60分 |
11:10-11:50 | 訪問③ 介護40分 |
12:10-12:40 | 昼休憩 |
12:50-13:50 | 訪問④ 介護60分 |
14:00-15:00 | 訪問⑤ 介護60分 |
15:20-16:10 | 訪問⑥ 医療50分 |
16:20-17:20 | 訪問⑦ 介護60分 |
17:40 | 事務所着 |
勤務時間は8:45-17:45(うち1時間休憩)です。
朝は就業時間前に出発。
昼休憩は20〜30分程度しかとれておらず、移動中はトイレもままならない状況…。
ケアマネや看護師とのやりとりをする時間はなく、自分の休憩時間を削るかたまに出たキャンセル枠を費やすことになります。
訪問リハでは月末のレセプトや報告書業務がありますが、事務員がおらず全てセラピストが行なっていたので、残業が前提でした。
当時はこのスケジュールをこなすのが楽しかったです。
インセンティブの魔力
訪問リハにはインセンティブ(件数によって給料アップ)を設定している事業所も多く、訪問件数が多くなるほど年収を上げることができるメリットもあります。
実際に月5〜6万程度のインセンティブが給料に上乗せされていました。
20代の頃は忙しさやインセンティブが増えることも楽しいのですが、30代・子持ちともなると辛くなってきます。
長く働き続けることを考え、現在はホワイト寄り事業所へ務めています。
避けるべき訪問看護ステーションのチェックポイント
訪問リハのチェックポイント
訪問リハではここはキツいだろうな…という事業所の条件があります。
就職前の面接や見学の時点で見分ける指標が4つありますのでご紹介します。
①1日の訪問件数
訪問件数はブラック度を最も濃く表す指標です。
- ホワイト MAX6件/日
- ブラック 7〜8件/日
「MAX6件」と「平均6件」は違いますのでご注意。
事務所内にスケジュール表があるはずです。1人当たりの訪問件数をチェックしておきましょう。
7件/日は40分訪問の比率により、辛さが変わります。
すべてが40分の訪問であれば、移動時間の他にトイレ休憩もとれる計算になりますので、平均単位数なども聞いてみましょう。
②基本給が低い
ブラック事業所では基本給を低くしようとする姿勢が見られます。
基本給が低くなるほど、年収が低くなります。
大きな理由はボーナスです。
年間のボーナスが4ヶ月分あったとして、同じ給料28万円でも(基本給18万+訪問手当10万)と(基本給28万)では年収にして40万の差が出ます。
基本給は退職金の計算にも使われ、退職する際の手当が低くなることも考えられます。
訪問リハの介護報酬が少しずつ下がっている中、基本給の少ない事業所は今後支給額が低くなっても契約上に問題はないということです。
手当が多すぎる会社にはご注意ください。
- ボーナスが少ない(年収が下がる)
- 退職金が少ない
- 経営が悪化すると給料ダウンの可能性あり
③看護部は24時間体制か
訪問看護は24時間体制加算があります。
24時間体制加算とは緊急訪問に対する月額基本料金です。
夜勤ではなく、オンコールという形になりますが、看護師の確保が難しくなる一方で、この加算がないと看護部への依頼が少なく、売上がマイナスになることが考えられます。
マイナスはリハ部で補填。
リハの加算は少なく単価は上がらないので、一件でも多く訪問することを求められます。
経営者が理学療法士や作業療法士の場合に24時間体制をとらないことがあります。
24h加算がないと…相当厳しいです!
リハビリだけを見ず、看護の体制もチェックしてください。
④リハに対して看護師の人数が少ない
訪問リハは医療保険と介護保健を使って訪問することになります。
回数や加算の関係から、医療保険のほうが利益が高いと言われています。
PEGや排便コントロール等が必要な神経難病(ALSや多系統萎縮症)に対応するには、看護師が頻回介入できる人員が必要です。
せっかくリハが2~3回/週介入できていても、看護師が足りず撤退することになります。
訪問リハは営業が命、といわれるくらいに利用者の確保に手間がかかります。
撤退が事業所に与える影響は大きく経営状態に関わるのです。
番外:車の台数が極端に少ない
訪問に欠かせないのは車!
近隣であれば自転車で回ることも多いです。
自転車は移動範囲が限られるのですが、問題はバイクです。
移動が広範囲になりやすいのがバイク。
雨や台風、雪でも休めないのが医療従事者の宿命。
車のコストはガソリン代、駐車場代、車検代、修理費、保険料etc…
個人的に
「バイク移動しろ=コストをかけずに稼いでこい」
というメッセージだと思っています。
外に出る職業ですので、身の安全を守れる事業所に入職しましょう。
転職先はマズローの欲求階層から考える
※マズローの欲求階層

三角形の下層の欲求が満たされてこそ、尊敬や自己実現の欲求が満たされるそうです。
ブラック事業所では、まず下層の欲求が満たされません。
- 生理欲求(トイレに行けない)
- 安全欲求(急いで運転するので事故する可能性が高い、過労)
転職先には自己実現を求める人が多いですが、まずは生理欲求や安全欲求が満たされる職場かどうかを確認してください。
そして自分が何を求めているのか?どの階層の欲求を持っているのか?を考える手立てにしてみてください。
就業規則の確認を!
就業規則には労働契約書にはのらない小さな決めごとが書いてあります。
マズローでいうところの生理欲求や安全欲求に対する会社の姿勢が見えると考えています。
就業規則は小さい事業所だと作成していないところも多いです。
しかし法律で雇用者には作成が義務付けられており、なくてはならないものです。
就業規則を作成していない時点で労働者を軽んじている可能性がありますのでご注意を!
就業規則は就労前に目を通しておくと◎
就業規則には弔慶休暇や結婚休暇、残業の申請方法などが書いてありますので、働くまでに確認しておきましょう。
入ってから確認して、いざ親類に不幸があったときに有給休暇を使わなければならないことも多々あります。
病院では当たり前のようにあった慶弔休暇ですが、実は当たり前ではありません。
面接時に確認しましょう。
契約後になりますが、できれば就業規則のコピーをもらいましょう。
リハビリ職の訪問リハへの転職は求めるものを明確に!
訪問看護ステーションには様々な働き方や給与形態があります。
私自身、ブラック事業所での5年間の勤務経験があります。
パワハラやマタハラが横行、3年以内の離職率が80%を超え、キツい辛いと言って辞めていく人を20人近く見てきました。
その中には、転職先に何を求めるのか?が不明確な人も多くいました。
- 給料アップ
- スキルアップ
- プライベート時間の確保
- やりがいを得たい
- 在宅リハビリテーションへの興味
- リハビリ技術の研鑽
- 難病指定疾患に関わりたい
- 将来的に事業所を立ち上げたい…
「なんとなく辛いから辞めたい」
「とりあえず給料がいいところへ転職したい」
ではなく転職へ求める本当の条件は何なのか、をゆっくり考えましょう。
優先順位を明確化しておくことで、長く勤められる訪問看護ステーションに巡り会えるはずです。
良い転職は勝手にやってくるものではなく、自分で選択していくものです。
求人情報や面接で得られる情報は少ないですが、情報の解釈や分析によって有る程度転職後のリスクヘッジをすることができます。
自分の希望をしっかりと持ち、チェック項目をもって面接に挑むこと、そして自分の条件を見つめ直し求人条件とマッチしているか熟考することで良い縁を掴み取ってください。